お待たせしました(俺が待ってた)、チャージカルの感想記事です。
とりあえずご覧頂けたら嬉しいです。

※本記事では基本的に略称をチャージカルとします。公式にはチャー研ステと略されます。







▲追記:今更ながらタイトルロゴ、今使っても昭和アニメっぽさを感じさせなくてカッコイイよね

11月1日、東京都内で行われた「LIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』」を観に新宿FACEへ行ってきました。
私自身、この出来事は他記事とは比べ物にならない位丁寧にブログ記事にしようと思ったため、最初の観劇からかなり時間が空いてしまいました。
出来れば上演期間中に投稿して宣伝記事にしたかった…!

帰宅してからまずは、書きたかった「チャージカル以前の出来事」をまずはアウトプットし、それからじっくり向き合おうと思い以下4本の記事を書きました。そんな事してるから1週間も空くんだ。

静岡と三重と岐阜へ行ってきた ←この翌週東京だってのに散財するバカ
you are an ンョ゛ハー゛
番組レビュー:みんなの説や27時間テレビ+こぼれ話
男性向け・女性向けの区別の無い漫画雑誌を作る事は可能か





丁寧に書きたかった理由①
当日の観劇感想の先出しとなりますが…チャージカルでは開幕、キャスト全員による主題歌の披露後、藤原祐規さんによる「チャージマン研!とは何か」の朗読が始まります。
ここでは映像と共にアニメ「チャージマン研!」の概要、および、ブーム後の近年の動向が紹介され、「昭和に生まれ、平成に復活し、令和で伝説となる」チャー研の少々奇特な歴史を観客全員が理解することとなる[ほんとか?]


……さて見た人に問う。こんなシーンが無かっただろうか?


「2010年、36年の時を経て公式サイトがオープン。」



……。




俺はこの時、心の中でめちゃくちゃ汗をかいた。



道のり2
きちがいマッスルで使ってくれてありがとう



2010年、36年の時を経てオープンした公式サイト「cha-ken.com」はドメイン切れにより消滅、数々の無残な姿を経て、昨年ようやく自分が取得したのが現在のこのページだからだ。

だからあの映像を観てチャー研の事を知った人で2人位はこのページを訪れている。…と思うんだ。






そういう訳で、舞台でも紹介された「cha-ken.com」でチャー研ファンとして生半可な感想は書けない…!!という勝手な使命感を自分に課しました。





丁寧に書きたかった理由②
そんな訳で最初の観劇から10日近く経ってしまったわけだが、その間にもいろんな方から、様々な視点での感想ブログが投稿された。発見したものに関してはなるべく目を通しているので、少なからず私自身の考え方にも影響を及ぼしている。

この時点で既に「見に行った後の率直な感想」としてこのブログを書くことは出来なくなった。よってこの記事は特筆無き限りは「劇場まで足を運んだ後、何度か生配信を視聴し、皆さんの感想に目を通した上での文章」となる事を了承願いたい。






↓ここからが本題だ!





舞台化発表から前日まで

2019年5月30日。アニメ『チャージマン研!』の舞台化というニュースが流れてきた時はあまりの衝撃に言葉を失った。

近年、コミカライズ版の復活や資料展(カフェ)、そしてオーケストラなど想像の斜めを行く商業展開も遂にここまで来たか!!!という感じであった。
実は私がチャー研にハマった2013年~2014年頃というのは商業展開がほっとんど無く、「まぁ40年前のアニメだしそうだよな」位に思っていたので、それが一転、ほぼ1年に1回とはいえ、これほどのゴールドラッシュの中にあるというのは、それだけでもただただ嬉しい限りだ(この辺は後で詳述)。

この時具体的に自分が何を言ったかはツイ消ししてしまったので覚えていないが、
「舞台版透明少年探偵アキラ アキラ役:     」
というツイートがまいぷにちゃんにふぁぼられたのは覚えている。



思い返せば第一報の時点でとんでもない発表がなされていた。主人公・泉研を演じる役者が4人いるのだ。いやどういう事よ!?この時点では誰もその意図を知る由も無かったが、皆も同じく「いやどういう事よ!?」となった結果この日のツイッタートレンド入りを果たす事で、商業展開としてまず「話題になる」事に成功した。やってた事すら知られずに消えていくのが一番悲しいし、事業としてアウトである。


ではこの舞台化、自分にとって不安が一切なかったか?そんな事は無い。不安な面もあった。期待半分不安半分だ。この時点では就活も終わってなかったし、先の予定も分からない事からチケットの先行予約まで即座に踏み出せはしなかった。
少し時系列が異なるが、具体的に不安になったツイートを紹介する。


不安しかない。

この原稿はSNSでバズること以外だと役者がこれを読み込むことにおいてどんな効果があるんだ…?それとも表紙だけ投稿用にわざとらしく作ってるのか…?そ、そうだよな…。

このツイートが原因という訳ではないが、前日までは特にタイムライン(TL)に流れてくるものや公式サイト以外は自分から特に各所から発信される情報を見に行きはしなかった。些細な事でも会場で初めて知った方が面白いと判断したからだ。



9月末、就職活動を完了する事が出来たのと、無事予定を空けられそうだったので、11月1日の公演を予約・発券した。発券してからしばらく適当にクリアファイルの中に入れてたので当日になってしばらく見つからず、顔面蒼白状態だった。こんな事はもうやめたい。

私が見に行く前日の10月31日には渋谷で地獄会、新宿で初日公演が行われたが、この日から観劇後までTLの確認を封印した。ネタバレや、他の人の感想によって印象が左右されることを防ぐためだ。観劇後にTLや感想ブログを見る限りこれらの対策は成功だったと思う。



この舞台は10月31日~11月6日まで全11回あった。これまで3回行われたチャーケストラ(通称)は1日1回限りなので、過去イベント比ではとんでもないロングラン公演である。題材がチャー研で11回も大丈夫か?ってなったよそりゃ。
私が見に行ったのは2回目の公演だ。その後配信で11月4日昼・夜の公演の一部と、11月6日夜の千秋楽の公演とを視聴している。よって感想は基本的にはこの4回の公演を踏まえてとなる。

…というかこのミュージカル、何故かニコニコ生放送で全日程を全編(一般会員は前半まで)配信している。結果的にお客さんが入ってたからいいものの、完全に話題性全振りで大きな賭けに出ていると感じた。まぁこの舞台はニコ生と連動した企画が組み込まれているので分かるのだが、それにしても大胆な戦略だな…。これにより地方の人でも、不安が残る人でもお試し感覚で本イベントに触れることが可能となった。…という宣伝をしても今更感あるけど1公演だけまだ見れるので今からでも是非試してほしい。チケット買うより若干安いから。(~2019/11/30)

▲モウオワッチャッタ…

チケットの値段だが、立見席2800円からジュラルシート10000円と何とも幅広い。こんな機会中々無いし、チャー研というコンテンツの発展の為なら全く惜しくねえ!!!!!!と思いジュラルシートを確保。というか9月末でまだジュラルシート余ってたのかよ!!しかもあと1席!!という心理的なアレが働いた結果でした。





↓ここからが当日の感想だ!



11月1日・当日の観劇レポ

まず私の観劇経験だがほぼ0回といっていいだろう。会場にはどちらかと言えば観劇玄人・チャー研素人なお客さんが多いのかな?という印象を受けたが、私はその逆でチャー研玄人・観劇素人である。私のような人だけで舞台が埋まるほどの人数がいるとは微塵も思っていないので、むしろこんな訳分からんアニメが原作でも推し俳優の為に来てくれてありがとう、という感じである。

一方自分の場合だが、こうした2.5次元舞台でも少々見た程度のアニメくらいなら舞台まで足を運ばなかっただろうし(例えばおそ松さんはアニメ観た留まりだ)、こういった機会と結び付けてくれたチャー研と言うコンテンツに感謝である。コラボレーションを通して経済効果が表れているのを実感する。

…ただ観劇素人の私でも流石に雰囲気で分かる。普通こんなプロレスリングみたいな所で演劇はやらないし、撮影やSNSへの投稿をガンガン奨励してくる舞台は無い。ただこれはチャーケストラで実施されバズった「録画・投稿OKのキチレコ演奏」の要素に近い。数々の公式展開で得たチャー研商業展開の方程式は脈々と受け継がれている。




>写真撮影ok、SNS実況ok、私語ok、大閃光8本焚きok なんて若手俳優界隈迷惑行為四天王(?)を揃えてくるのなんて多分チャー研ステぐらいです。


そんな盛り上がり全振りの舞台へ向かった。着くや否や、エレベーターからいきなりジュラル星人が案内してくる。そして会場に着くと、一部のキャスト達がチケットを切っているのだ。なんとサービス精神旺盛なんだ…。

私が到着した時にはジュラル星人の服を着たスタッフと、パパがいた。パ、パパァ!!


この企画には一般公募枠があったのだが、パパは一般枠から選ばれている。目の前にこうして現れるとあの泉博感、貫禄は物凄い…!
私からチケットを受け取ったパパは開口一番、こう言い放つのだった。

「貴様、ジュラル星人だな!?」

私はびっくりした。というのも、確かに私は何があってもいいように上着の下にジュラル星人Tシャツを仕込んでいたのである。ここぞとばかりに上着を脱いでファンであることをアピールしたかったのだが、ここで私のバカ、ボタンを外すのに手間取る。後続のお客さんに迷惑をかける訳にも行かなかったので、ここは足早に退散。興奮状態でお礼を言えてたか覚えていないので今ここで改めてお礼申し上げたい。弄ってくれてありがとうございます!ちなみに観劇中は悪目立ちしないように結局Tシャツは出していないので、東京での滞在中にTシャツを弄ってくれたのはパパだけである。


飲み物を確保し、いよいよジュラルシートへ。
新宿FACEは東西南北にリングを囲うように座席が存在する。1人対99人のクイズ大会をしたくなるような構図である。ジュラルシートはこのうち最前2列となる。座席を見た私はふとこんな事を思った。

「俺には机無いのか…」

いや前列に机置かれたらそれこそ邪魔なのは分かるが、後ろのプレミアムシートと思しき座席は机があるっぽい。そして会場が別にそんなに広くないからそこまでの大差はない。改めて言うが後悔は無いし強い不満を感じているわけではないが、ジュラルシートはマジで推しを間近で見たい人には最適だという事は分かった。目の前だ。カメラ向けたらキャストが応えてくれるレベルだ。いやそれもどうなんだ。とにかくこの舞台は自由度が高い。

また会場が狭いというのはマジで向かいの座席の人が見えるレベルなのだが、これによって何が起こるかと言うと、SNSやニコ生にガッツリ顔が映るという事である。投稿の際は1人1人気を付けなければならないが限界はあるし、そもそもニコ生で垂れ流されたら対策のしようが無い。
ここでは偶然自分のイメージチェンジが成功した。髪色・髪型を変え、眼鏡を外していたのだ。おそらくSNSやニコ生では年甲斐も無くはしゃぐ私の姿が公開処刑されているのだろうが、おそらく顔なじみの人でも私を探すことは不可能だろう。ざまあみろ。



そんなこんなで開演。開演に先立ってジュラル星人役(チーフ)・浜ロンさん、魔王役・村上幸平さんがそれぞれこの舞台上のルールを伝授。といってもそこまでのルールは無く、スマホでの撮影投稿はむしろ奨励してくる位なので、とにかく楽しめという話なのである。そして楽しい舞台にするために場を盛り上げられるお約束がここで伝えられる。


そういえば、出演するキャストは基本的に突出した個性を強調するために、1話限りの設定でもアクセントとして多用される。バリカンなら語尾に「~ゲス」と付く回数が異様に多いし、魔王は更年期なのか「アレを…アレしてやる」と全部アレで済ます(よく考えたらなにそれ)。
これを快く思わない人の気持ちも分かるが、大体チャー研見て1か月くらいの人ってこんな認識だし、この舞台もまたチャー研を紹介する役割を果たしているなら取っ掛かりは多い方がいいと思っている。本当は真面目なヒーローアニメなんだと言って見てくれるわけがないのは自分達がどのようにチャー研にハマったかがそれを証明している。

…というスタンスの上でだが、正直チャー研が人気になった上っ面の側面だけ履修して適当に作った舞台ならここまで出来なかったと思う。エピソードの選定も言わばそうだが、自分が観劇中特に気になったのは「魔王の目ピカ」の多用である。
魔王
このシーンが出てくるのは第1話『危機!!子供宇宙ステーション』の冒頭で、魔王の滑舌の悪すぎる演説がよくネタにされるのはお馴染みだろう(本舞台でもすりゅ!と聞こえるような喋り方が意識されていた)。目が突然光るのは最後に「わか(っ)たか!!!!!」と叫ぶシーンだが、滑舌ばかりが注目されているため、フラッシュがここまで何度もこする程のネタだと思っていなかった。
キャラ付けは全てが安易な訳ではなく、全放送回から今回の舞台で使えそうなものを的確に武器としている事が伺えた。


開演後まずはキャスト全員による主題歌『チャージマン研!』の披露が行われる。まずここで圧に驚く。
これはライブハウスへ行った時に毎回思うのだが、現地で聴く音の圧というのは現地でしか味わえない。そこに主題歌のミリキ的アレンジが加わる。100点。もうこれだけで100点である。この後102点とか185点になる可能性はあるがとりあえず100点である。私は今公式でチャー研OP舞台を見ることが出来る幸せな世界にいるのだ。
あとはやはり衣装の完成度が凄い、結局通販が実現しなかったチャー研ヘルメット(2010)が今目の前にあるのだ。あのジュラルの魔王が物凄い再現度で目の前にいるのだ。とんでもない所に来たぜこれは…!!!

OP披露後はチャー研の説明を挟み、原作エピソード『危機!爆破1秒前』へ。

いいか皆聞いてくれ。ヘレンちゃんが可愛い。

しかし見とれている余裕などない。現場ではそれよりももっと恐ろしい事態が起きているのだから。

なんと研が出てくるシーンが4人分、4回繰り返されるのだ。とんでもねえ。
研には1人ずつ主軸がブレない程度にキャラ付けが行われているのだが、このうち原作に近いシーン再現から、どんどん原作からかけ離れたシーン再現となる。これを短期間に繰り返すので、何といえば良いか迷ったが、最終的に「我が家(芸人)の配役が入れ替わるやつ」だという風に理解した。この演劇は基本的にチャー研を題材としたコントが半分くらいあると考えてもいい。

この4パターン芝居は時に東西南北、各方向から行われる場合もあるので、「なるほど、4人いると4方向どこからでも楽しめるか!」と思ったけど、演出の人いわく「特に理由は無い」との事。実際俺は役者がどこにいようがめっちゃ目を動かしまくってたので確かにそれは理由にならなかった。(?)




ここでも先程触れたパパが目立つ目立つ。
「研!!!!!爆弾、探すぞ!!!!!!!!!!!!」
めちゃくちゃ熱い。チャー研には放送当時『冒険王』という雑誌でアニメを原作とした漫画が掲載されていたのだが、冒険王版パパを思わせる位熱かった。だがこのパパは冒険王版の30倍は熱い。ちなみに最後まで熱い。というか声が物凄い通るのだ。

ちなみに爆弾を探すシーンも色々やり放題である。後述の六つ子パートに比べたらこんなのはまだ序の口なのだが、パロディが結構多めである。もっとも俳優ネタ・監督ネタかもしれないのでな何とも言えないが。舞台について履修してる事があまりに少ないので。
以前の記事で「骨格は文脈を必要としない方がいい」と言ったが、ここに限れば爆弾を探すワンシーンのおまけみたいなものなので問題無いと考える。

さて、唐突なパロディの投入やそもそもの情報過多など、この舞台に臨む心構えとしては『ヘボット!』が近いかもしれない、みたいな話を、こんな人さんとかkoichilさんとかと後でした。レポがまだ序盤中の序盤なのに全然終わらない密度だし的を射てるかもしれない。射てなかったらごめん。


爆弾を見つけた後は4人ともチャージマンに変装。
さて、バトルシーンがめちゃ創意工夫に溢れていて面白い。スカイロッドを使った動きをどう再現するかと言うと、ワイヤーを使ったりキャスト自ら釣竿を使ったりと超チープ。更に使う小道具も本当に学芸会か!!って突っ込みたくなるクオリティ。しかしそれらの意味する所はしっかり伝わるし、何より見ていて楽しい。めっちゃ金かけたお遊戯会だよこれ!何それ楽しい!混ぜろ!(?)

特にジュラル星人を倒すシーンがもはや何なのかという感じである。この回では銃を基本的にシャボン玉に置き換えて行われるのだが、シャボン玉がジュラル星人の所まで届かないので、ジュラル星人はわざわざシャボン玉まで近づいて倒れるのである。元々ジュラル星人は研の圧倒的な強さに対し無抵抗で死んでいくしかない事が多いが、ここまで来たらただのアホである。でも元々ただのアホか!(辛辣)

…そしてミュージカルらしく歌唱パートに突入。命の大切さを泣きながら訴えるのであった。いやさっきまで楽しそうにジュラル虐殺してただろ!!!




続いては35話『頭の中にダイナマイト』
基本パターンは同じなので詳しくは省くが、やはりこの回はボルガ博士の存在感が強い。
研とバリカンが歩いててボルガ博士にぶつかり、謎の問答を行うシーンは4回行われるのだが、そのせいもあってボルガ博士が「フッフッフッフッwwwwww」と笑いながらゆっくりと振り向くシーンが忘れられなくなった。あれだけ見たら完全にチャー研を題材としたコントである。

この回も同様に耳毛シーンやボルガ投下シーンが創意工夫と力業によって見事に再現されている。
ただこの回では個人的に少し感動した部分がある。それは冒頭の怪獣映画のシーンである。アニメだけだといきなり怪獣映画が流れて「???」となるが、舞台ではスクリーンに映るアニメ本編を併用し、最初から「怪獣映画を見ている研達の視点」が出来た事で大変わかりやすくなったように思う。多分。




ここからが更に驚きである。
ボルガ回が終わるとキャストがロビーに散って、複数のエピソードが同時進行する。なんだそれ…!研だけでなく見る側も4人に増えないとコンプできない仕様だったか…!!
そうと分かっていればあの時10000円×1回じゃなくて2800円×4回にしてた…!かも…!
結局自分はコンプできなかったが、非常に面白い試みだと思った。

どうやら別々に進行していたストーリーは最終的に繋がるらしい…めっちゃ気になる…


何とこの同時進行の回で魔王が死ぬ(ただし何事もなく次の回で蘇る)。ここから前半終了まで「個性」をテーマにミュージカルが展開する。
没個性を嘆くジュラル星人達→テレビで『六つ子アニメ』を見る研達と、六つ子に扮したジュラル星人達による個性獲得への訴え→ほぼアドリブでジュラル星人のアピールタイム

この流れが何のためにあるかと言うと、この後の回でチャージマン役を演じることが可能な『チャージマンドリーム』への流れである。
ニコニコ生放送と連動して、ジュラル星人を初めとして好きなキャラに投票できる。投票は前半で締め切られ、1位のキャストがチャージマンとなるので言わばここが有権者への最後の訴えである。おそらく端役のジュラル星人がメインの企画になるが、キャスト・スタッフ全員がチャージマンになれるチャンスを持つ夢の舞台であり○ートピアである。

とはいえここに至るまでにマジで『六つ子アニメ』パートが唐突に放り込まれる。客層考えたら驚かないけど驚きである。いやガッツリパロディするね!!!!!!


>松ステもチャー研ステも脚本家がどちらも伊勢直弘さんなんですね。

これは文脈を知らないとやはりただただ驚くばかりだろう…いや文脈が分かっても驚くしかねえよ!w
現地では「六つ子は個性の塊だろ!!」という脳内ツッコミが止まらなかった。





休憩明け、16話『殺人レコード 恐怖のメロディ』
この回は前述の投票で選ばれたチャージマンが際立つよう、前半のような誇張はほぼ無く原作通りに進行する(とはいえ研は4人いる)。原作通り過ぎて観客がストーリーを理解できるのか逆に不安になるが、この回の後で尺稼ぎ本編を観る時間が設けられているので大丈夫。いや何も大丈夫じゃねえよ新宿まで来て何してんだよ。

私が見に行った11月1日は投票によりパパ役・篠原麟太郎さんが選ばれた。この日の私の頭の中ではとにかくパパの印象が強かったのでとにかくパパおめでとう!!!!と思った。
その後満を持して現れたチャージマン博はとにかく楽しそうだった。ほっこりした。

16話上演後、原作16話の確認が終わったところで…撮影禁止『本編』が始まる。
なお本編の前にもミュージカルが挟まれる(かっこいい)。今回使われた曲はどれもやや汎用性が高くも思えたが、全部この為だけの書き下ろしなんだろうか?こんなチャー研の為に…(?)






雷雨の中ナレーションが進行し、11話『地球を守れ!』の開幕である。この回は仕切り直しと言わんばかりにOPから始まる。(雷雨でめっちゃチカチカするのは確かに具合悪くなりそうではあった)

この回は特に必見。それまでとは違い11話の骨格を元に再構成したストーリーとなる。それまでと同様にギャグシーンっぽいのは一応あるが、ほぼ緩急をつける為にある位である。
ここでは本来原作でやらなきゃいけなかった、家族との衝突や泉研最大のピンチ、魔王との共闘、涙の帰還などが丁寧に描かれている。ここで注目したいのは泉研が4人いるメリットだ。アイアン星との格闘シーンでは当たり前のように4人いるが、魔王との共闘が始まるまでは1人ずつ、シーンごとに入れ替わるように登場する。研は主役であるため他の家族や魔王と比べても出ずっぱりとなるが、シーンごとに研を入れ替える事で、いつまでも研の熱気を高いまま維持する事が可能となっている。これが理由かは分からないが、とにかく巧いと思った。ちなみにこの回はガチなので特に後半以降は研1人1人に濃いキャラ分けは行われていない。
後になって思ったのだが、日テレが漫画原作をドラマ化した時の雰囲気にどこか似てると感じた。具体的には怪物くんの時。





…その後カーテンコールを経て舞台は終了した。私はおよそ2時間、とんでもない舞台に身を委ねていた。ただひたすらに熱気のある、そんな舞台だった。
熱気冷めやらぬまま、私はようやくTL閲覧を解禁した。その瞬間私は観劇と並ぶ衝撃を受けた。




「えっ、まいぷにちゃん来てんの!!??!???!?!??!?!??」








なんとこの日は塚本舞さん、やしろあずきさんが来ていたというのだ。TLを見ていなかったことは正解だと思ってるけどこれは若干後悔した。まあ事前に分かってたとしても見つけられなかったと思うけど一目見たかった~!!
別の日には他の著名人の方も来ていたという…。チャー研の知名度はなかなか侮れない所まで来ている。















観劇を終えての感想

私がチャージカルの観劇を終えて、そしていろんな方の感想を踏まえての感想となる。

結論から言えば大変面白かった。他のアニメの舞台化では難しそうな?試みがふんだんに盛り込まれているように感じたし、何より演じている役者たちが楽しそうにやっていることが伝わってきた。一方でチャー研の文脈だけでなく節々において様々な文脈を知っているとより楽しめると感じたが、ただ「カオスな空間として」楽しむ分には問題無かった。
最初の方に書いた通り観劇経験がほぼ無い為、また一つ知らない世界に飛び込む機会をまさか『チャー研』が与えてくれようとは…!という気持ちである。ここから更に演劇世界を読み込む事でより味わい深くなるだろう。
その上動員数はほぼ満員で、ネットで話題になる戦略も成功、チャー研と言うコンテンツがコラボレーションにより得られる新たな可能性がまた一つ見えた訳で、それがただただ嬉しい。今まで望めなかった地方での展開も期待できるレベルだ。何度も言うがチャー研は公式供給が大変乏しかったジャンルである。

ただ勿論、「殺すよ☆」が共通言語になるような世界は原作には存在しないので、そういった所は今後原作から派生して新たなコミュニティが生まれていくのかもしれない。それは何ら珍しい事ではなく、ニコニコからチャーケストラまでチャー研本編の持つ魅力を各々解釈して生まれたコミュニティがまた一つ生まれる、という意味である。今回だと原点から大分遠い演出もあるにはあったが、大半のお客さんの層を考えた結果なら「特定層に刺さる」エンターテインメントの賜物である。
メドレー合作の選曲がどのジャンルも大体似たり寄ったりになるのと一緒である(暴言)



こんな事を書いてるとどうやら「お前はこの舞台を面白いと思ってるなんてどうかしてる」と思われる方もいらっしゃるそうなので、持論を書いておく。チャー研本編が持つ「面白さ」というのはチャー研本編にしか出せないものであり、派生コンテンツにチャー研のような面白さを求めていく方がどうかしている。

ニコニコでは「例のアレ」の一つとしても知られるチャー研本編が知名度を上げた要因はいわゆる「笑われる」笑いである。ストーリーは至って普通でありながら、言い回しや展開にツッコミどころがありすぎるがゆえ、また40年前の無名アニメだからこそ「あの面白さ」は醸成された。そしてそれが面白かったから、私は6年前にチャー研ファンとなった。
ちなみに作品ごとの面白さの概念の理解は結構時間を要するものであり、チャー研本編でも1回だけでは分からなかった。

いわばンョ゛ハー゛のような自然の産物だから実現する面白味であり、この先チャー研を題材に誰が何を作ってもこの面白味は実現しない。面白さ・ツッコミどころは狙って作るしかない。
チャー研でMAD動画を作っている俺ももちろんそう。

それを面白いと思うかは人それぞれだが、もしこれを原作のように誰かが作ったものを蔑む形での笑いにしようとしたら非難を浴びるだろう。作者やファンとの距離が近すぎるからだ。例のアレな頃(10年前)から作品を知る人にとっては近年の商業展開そのものが複雑な心情である事は理解出来るが、そんな事を言っていたら何も生み出せやしない。

この前提に立ち、尚且つチャー研1個1個の公式展開が依然として風前の灯火である現状を考えれば、たとえ自分に合わないということを書いたとしても、舞台ファンや関係者の気分を害するまでに発言を尖らせる必要性が感じられない。
発言者の中には私が尊敬する、黎明期よりコンテンツの発展に貢献してきた方々もいらっしゃったが、そんな方々なら尚更ではなかろうか。まして「私はチャー研真剣ファンだからこんな舞台では笑えない」「こんなので笑う人は箸が転がってても面白いと思う人だ」と、自分が笑えなかったのを真の作品好きだと勝手に定義し、差別する行為は流石にあんまりであった。100歩譲って見た人ならまだしも、もし他人の感想だけ見て舞台観ないで言ってる人がいるならもはやファンを名乗ってコンテンツの終焉を目論む工作員か?とすら思える。少し前にはこうした部分を恣意的に切り取られたネガキャンまとめ記事もあったではないか。

今までがそうだったように、1人1人の言動が今後のチャー研という市場の拡大に影響しているという事を自覚してほしい(これは個人だけでなく実際に商業展開する人も)。私はただそこだけが悲しかった。批判をするなとは言わないし私も思う所はいくつかあるが、わざわざ実際に存在する「純粋に楽しんでる人達」までも煽るような言い方をする必要はどこにも無い。
ここは個人的感情の話になるが、人が楽しんでる横で毒を吐かれて興ざめしてしまう経験位みんな散々あるはずなのになぜ人のふりを見て我がふりを直せないのか。俺も本当はライブ上がりのオタクみたいな語彙力の無い感想だけ書いて余韻に浸りたかった…。

今こうして続いている商業展開の火付けに携わったものの1人として、チャー研の持つ側面を沢山増やしていきたい。心配しなくても、今後どんな展開がなされようが原作の価値だけは絶対に変わらない。
こういった認識の上でだが、これから先の商業展開が非常に楽しみだ。次はどのようなメディアミックスがあるのか、その時チャー研はどう解釈されるのか、再アニメ化はあるのか…。どのような展開を迎えたとしても変わらず、ただただコンテンツの発展を応援し続けたい。原作の価値は変わらないからだ。
(真面目なアニメ化で興味を引けるモノって多分没絵コンテのアニメ化位しか無さそうだし、実際見てみたい)




そんな訳で、本舞台はチャー研というコンテンツを舞台と言う形で解釈した新たなコンテンツとして非常に面白かったです。また私も思わぬ形で新たな世界に触れる機会を得たと共に、様々な感想に触れる事でコンテンツを立ち上げる難しさを感じました。ですが難しい事はさておきとにかく楽しい、パワーに溢れた舞台でした!
皆様ありがとうございました!!!!!







…ところで続編ってあるんですか?